1.単元の目標
○群馬方言の代表ベーベーことばも時とともに変わっていることを知り、ことばが変化するものであることを知る。
○興味関心を持って自分たちと上の世代との方言の違いを調べ、調べたことを地図に表すなどして、課題解決を体験する。
2.学習内容と子どもの活動
上の地図は、本間芳枝氏による1983年調査の結果(篠木れい子1994『群馬の方言―方言と方言研究の魅力―』上毛新聞社)である。左が当時高年層、右が当時青年層の「見よう」の言い方を表したものである。
群馬県の多くの地域では、意志や勧誘の表現にはべーを使う。そのベーの使い方に変化が見られる。左右の地図を比較してみると、ミベからミルベに変わっていることがよくわかる。また、東毛を中心に青年層でミンベ及びミルンベが使用されている。べーの終止形接続(接続の単純化)やル語尾の撥音化により、ンベーという新しいべーべーことばが生まれているのである。
この学習では、伝統的な群馬方言も実は変わってきていることを知り、ことばが時とともに変化するものであることに子どもが気づくことからスタートする。そこから方言を題材に自分たち世代、親世代、祖父母世代の同一の事象や事物について方言に違いがあり、またそれぞれ地域差があることを調べ学習を通して認識していこうとするものである。課題解決的な学習体験を通して、方言の存在、言語変化を学ぶことを目指す。
3.展開のポイント
○三世代の方言地図を自分たちで作成することを通して、方言に世代差と地域差があることを学ぶ学習としたい。
○調べた結果を描いた地図は、子どもたちなりの解釈と解説をつけ、文化祭や公開授業等で発表する機会を与え、目標を持って学習に取り組む意欲づけとしたい。
4.展開例
第1次:群馬方言べーの変化を2枚の地図から知る。(1時間) | |
○2枚の「見よう」の方言地図を読む。 ○ベーの変化を学び、群馬の方言を調べる。 |
○「見よう」の言い方が群馬県内でも異なること、また世代によっても異なることを知る。 ○群馬方言ベーがどのように変わってきているのかを考える。 ○群馬の方言について調べる。 |
第2次:テーマを決め三世代方言地図を描く。(3時間) | |
○三世代方言地図のテーマを決める。 ○調査を行い、方言地図を描く。 ○描いた方言地図の解説を地図に加える。 | ○図書館での調べ学習、公民館等地域の文化施設の資料、インターネット、家族や地域の方へのインタビュー等を通して、三世代方言地図のテーマをグループごとに決める。 ○家族や地域の方を中心に方言調査を行い、各世代の方言地図を描く。地図の範囲はグループにより市町村単位であったり、通学区域であったり調査が可能であれば様々でよい。 ○発表に向けて、自分たちの描いた三世代地図はどのようなものであり、何がそこからわかるのかを検討する。 |
第3次:三世代地図発表会を行う。(1時間) | |
○三世代地図の発表会を行う。 | ○三世代地図の解釈とそこからわかることを発表する。 |